FreeDV運用ガイド

オープンソースによるデジタル音声通信

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RADE

RADEモードについて

投稿日 by Hiro

FreeDV-036 Radio Autoencoder (RADE) V1 Introduction and
Waveform DescriptionDavid Rowe VK5DGR
Sat Oct 5 09:21:06 2024 Git:(in packed-refs) 7 on branch
Japanese Translation by RADE test team Yuichi Matsui, JH0VEQ.


https://github.com/drowe67/radae/blob/main/doc/rade_intro_waveform_jp_r5.pdf
この文章の元になっているリンク

※10MHz帯でのRADEモードの運用には注意が必要です。
現在リリースされているテストバージョンでは、
送信時のフィルタ選択によっては、占有帯域幅は3KHzおよぶため、
占有帯域幅を2KHzに規制している10MHz帯での運用には注意が必要です

下記に示しているスペクトラム上ではー30dB確保されているので
99%の占有帯域規定は裸のままで満足するが

送信機アンプ本体の劣化や現在リリースされているバージョンは、
プリリースなどのこともあり余裕をみて帯域を狭める何らかのイコライザーを
れるのが無難であると考えます。

占有帯域幅を2KHz以下に収める手法として
FreeDVソフトからの出力信号>>ソフトウェアイコライザー>>無線機入力
の手法もとることは可能ですが、自己責任で行うようにしてください。

ソフトウェアイコライザー(APO イコライザー)を設定する方法は
RADEモード APO イコライザーについて – FreeDV運用ガイド
にまとめました参考にしてください。

現在のリリースでのテストは実証実験及びコードの最適化が優先されています。
今後のリリースで、RADAE信号の「潜在次元」、つまりRF帯域幅の縮小に
取り組むとのアナウンスもされています。

1 はじめに(Introduction)
Nov.1. 2024 draft5
ラジオ・オート ・エンコーダ(RADE)V1の目的は、
HF無線周波数で音声を送信することです。
音声信号の帯域幅は8kHzですが、RADE V1信号のRF帯域幅は1500Hz(-6dB値)
で済みます。ピーク対平均電力比(PAPR)は1dB未満で、
送信機のパワーアンプを効率的に使用できます。

私たちのテストによると、RADEは低SNRおよび
高SNRのHF無線周波数で良好に動作し、SSBや従来の
デジタル音声システムと比較して、印象的なスピーチ品質を持っていま
す。RADE V1は、従来のデジタル音声システムよりも
多くのメモリとCPUリソースを必要としますが、
一般的なPCで問題なく動作します。

RADEは、FreeDV-GUIアプリケーションV2.0以上を使用して、
WindowsデスクトップPC、ラップトップPC、
または、MAC上で動作させることができます。
このドキュメントは、RADE のバージョン 1 の紹介と
波形の説明です。対象読者は、アマチュア無線家および
アマチュア無線を管理する規制機関です。

1.1 謝辞(Acknowledgements)
RADEのコンセプトは、Jean-Marc ValinとDavid Roweの
ディスカッションから発展しました。Davidは、数ヶ月かけ、
このコンセプトを基に、HF無線周波数でのスピーチ用の
実用的なOver-the-Air波形を開発しました。
Mooneer Salem は FreeDV GUI アプリケーションへの RADE
の統合を担当しています。

FreeDV Project Leadership Team をはじめとする多くの人たちが、
2024 年の間、サポートやテストに協力してくれました。
David、Mooneer、FreeDV PLT の貢献は、Amateur Radio Digital Communications (ARDC)
からの助成金によって支援されています。

2 RADE概要(Radio Autoencoder)
図 1 は、従来からの無線デジタル・スピーチ ・システムとRADEを比較したものです。
従来の無線デジタルスピーチ ・システムでは、スピーチ・エンコーダ ( Feature Extraction)
1がピッチ、ボイシング、短期スペクトルなどの特徴を抽出して、
一定のビット数(たとえば700ビット/秒)に量子化(Quantisation)します。

図 1: 左が従来の無線デジタルスピーチシステム、右がRADE。

前方誤り訂正 ( FEC Encode)は、符号化された音声を
ビット誤りから保護するために余分なビット(訂正符合ビット)を
追加します。前方誤り訂正 (FEC Encode)で
エンコードされたビットは変調器(Modulator)に渡され、
無線周波数(Radio Channel)上に送信できるアナログ信号を生成します。
復調器(Demodulator)は受信した信号をビットに変換します。

ビットの中にはエラーがあり、FECデコード(FEC Decode)は、
そのエラーを修正しようとします。最後に、
ビットはボコーダ(De-Quantised)で音声特徴(量)に戻され、
スピーチシンセサイザー(Speech Synth)で音声に合成されます。

RADEは斬新な工夫を凝らしています。RADEエンコーダ ( RADE Encoder)
の機能は、ボコーダから直接 PSK ( Phase Shift Keyed)シンボルに変換します。
これは、量子化、FECEncode、符号化、変調を効果的に組み合わせたものです。
RADEデコーダ ( RADE Decoder)は、受信したPSKシンボルを、
高品質のFARGAN合成器を使って、音声合成します。

RADEエンコーダ,RADEデコーダ、FARGAN合成器は、最新の機械学習技術 ( ML)を
使用して構築しています。 RADEは、HF無線周波数に
歪みがあっても高品質の音声を生成するように訓練されています。

図 1には示していませんが、PSKシンボルをOFDM 信号に変換したり、
OFDM信号からPSKシンボルに変換したりする従来の DSPと、同期のような
ハウスキーピング・タスクがあります。PSKシンボルは2000シンボル/秒で
無線周波数上に送信されます。

図 2: RADEエンコーダ PSKシンボルのコンステレーション・プロット。従来の
QPSKと比較すると、コンステレーションはノイズのように見えます。
図 2: Scatter

図2に示すようにRADEエンコーダ(RADE Encoder)のPSKシンボルは、
従来のデジタルモデムのように離散的なコンステレーションポイントではなく、
ランダムに配置されているように見えます。このコンステレーションは、
HF無線周波数での多くの音声信号例を用い、オートエンコーダを訓練することで、
つくられたものです。

特徴的なのは、RADEシステムはビットで処理をしません。
特徴抽出器(Feature Extraction)を通りPSKシンボル合成まで浮動小数点で処理します。
つまり、RADE信号は、機械学習と古典的なDSP技術を組み合わせて作った、
一種のアナログPSKと見ることができます。

下の図はRADE V1信号のスペクトラム例です。波形は他のOFDMと同様で、図のRF帯域幅
は1500Hzです。スペクトルの高・低エッジの「ノイズ(grass)」までは、ピークから
約-25dBと比較的高く、V1リリースではこの抑制が最適化されていません。

図の補記は訳者の追記です。注意参照(See Note)
Figures are supplemented by the translator’s additions.

下の画像は、ある局から提供していただいた
FreeDVソフトからトランシーバーへの入力信号の間に
ソフトウェアイコライザーを入れて帯域制限を行った例の
送信帯域の送信出力モニター画像です、あくまでも一例です。

訳者追記(translator’s additions.)
参考資料(Additional Reference)
FreeDV-036 Radio Autoencoder (RADE) V1 Introduction and Waveform Description
https://github.com/drowe67/radae/blob/dcd33aa142f5e418e82f1d3d1873d081c2f5c
39d/doc/rade_intro_waveform.pdf
Watterson Channel Model for gnuradio
https://github.com/noahthurston/gr-watterson
FARGAN Vocoder
https://arxiv.org/html/2405.21069v1#S2
注意(Note.)
*1占有帯域幅(OBW)は変調後の電力波形の99%が占める帯域幅値であり、
実送信機のフィルタ特性に依存するため、送信機に対する出力レベルを
ソフトウエアで調整し占有帯域幅を確認する必要があります。
マイク入力端子を使う場合は特に注意をして下さい。なぜなら、
占有帯域幅は送信機のフィルタによっては予想以上に広がる
場合があるためです。なお、送信機フィルタによっては
最小占有帯域を1.5KHzまで制限できます。
図3 はでSSB変調でのシュミレーションのため、
実際の送信波形とは違いがでます。

*1: In Japan, the occupied bandwidth (OBW) after modulation is defined as the 99% value occupied by
the power waveform. Since it depends on the filter characteristics of the actual transmitter, adjust the
input level of the transmitter and check the occupied bandwidth.Special care should be taken when using a
microphone input jack.
This is because although this occupied bandwidth may be wider than expected for some transmitter
f
ilters,occupied bandwidth can be limited to a minimum of 1.5 KHz by the transmitter filter.
Since this occupied bandwidth depends on the transmitter filter characteristics, it should be checked
before operation after the transmitter input level is adjusted.Figure 3 is a simulation using SSB
modulation, so there should be differences from the actual waveform..
「このバージョンは技術検証のための早期リリースです。
利用者は自身の置かれた環境に十分留意して自己責任で使ってください。」

This version is an early release for technical verification. Users should be aware of their
environment and use at their own risk



現在のバージョンについて

投稿日 by Hiro

新しいRADEモードを含むFreeDVの2番目のプレビューリリースです

FreeDV-2.0-devel-2025-1-30版
リリースされたバージョンにおいて、
音質の改善されたRADEモードがあります。
占有周波数帯域幅は1.6KHzとなります。
日本国内で7MHz帯での運用は、RADEモードを使っての
7.200MHzでの運用はしないようにお願いします。
理由は7.196MHzでの唯一AM局運用に支障があるためです。
FreeDVの開発元では、7.177MHzとアナウンスがされていますが
FreeDV Reporterを見ながら、他のSSB運用局に混信を与えないように
運用してください。
これは、新しい RADE モードを含む FreeDV の最初のプレビュー リリースです。
RADE の開発の詳細については、FreeDV Web サイトのブログ投稿をご覧ください。

  • https://freedv.org/davids-freedv-update-feb-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-march-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-april-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-may-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-june-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-july-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-august-2024/
  • https://freedv.org/mooneers-freedv-update-august-2024/
  • https://freedv.org/mooneers-freedv-update-september-2024/
  • https://freedv.org/davids-freedv-update-september-2024/

  • RADE 信号の受信中に信号対雑音比 (SNR) が表示されるようになりました。
  • 受信した信号は、1秒に1回、FreeDV Reporter(コールサインなし)に
    報告されるようになりました。コールサインが受信されると(送信の終了時)、
    そのコールサインはFreeDV ReporterとPSK Reporterの両方に報告されます。
  • RADEで同期インジケータが緑色に変わるのを防ぐバグを修正しました。
  • Visual Studio 再頒布可能パッケージがインストールされました
    (PC にまだインストールされていない場合)。
    (これは、FreeDVが使用するPythonパッケージに必要です。
  • RADE モードで Request QSY ボタンが有効にならないバグを修正しました。
  • RADE は、UI と FreeDV Reporter で RADEV1 に名前が変更されました。
  • macOSバイナリが署名および公証されるようになったため、
    以前のビルドでの回避策が不要になりました。
  • RADE の実行中に FreeDV が終了時にセグメンテーション違反になる問題を修正しました。
  • Python ファイルがプリコンパイルされ、起動時間が短縮されるようになりました。
  • コア RADE コードが C 言語になりました (Python ではありません)。
  • アンインストーラは、Pythonの後に完全にクリーンアップされるようになりました。
  • オーディオチェーンは、オーディオ品質を向上させるためにクリーンアップされます。
  • README が更新され、Linux の手順が明確になり、RADE サポートで
    自動ビルドするスクリプトへのリンクが追加されました。(ありがとう!
  • メイン ウィンドウに表示される最大 SNR は、実際のテストを反映して 40 dB になりました。
  • バージョン文字列の “devel” は “dev” に短縮され、2 番目のプレビュー ビルドを
    反映するために “dev2” にインクリメントされます。
  • マルチ RX モードはサポートされていません。RADEを選択して[スタート]を押すと、
    それが作業できる唯一のモードです。停止して別のモードを選択し、
    既存のモードでFreeDVを再び開始する必要があります。
  • 現在、スケルチはRADEで無効にすることはできません。
    現時点では、スケルチを無効にすることが可能かどうかは不明です。
  • コンパイルの問題により、2020/2020B モードは無効になっています。
  • 現在、Windows ARM ビルドはありません。これは、将来のプレビュービルドに
    含まれることを願っています。その間、64ビットのIntel / AMDWindowsビルドを
    使用できる場合があります。
  • 最小ハードウェア要件は完全には説明されていないため、
    現在、システムでは RADE を使用できない場合があります。
    将来計画されている最適化により、これが改善される可能性があります。
  • 以下のビルドは、以前のリリースよりも大幅に大きくなっています。
    これは、PythonとRADEが必要とするモジュールを含める必要があるためです。
    計画的なC/C++への移植は、最終的にはPythonの必要性を否定するでしょう。
  • Windows ビルドには Python が含まれていますが、RADE に必要なモジュールは
    含まれていません。インストールプロセスの一環として、
    FreeDVに組み込まれているPythonのバージョンは、必要なモジュールを
    ダウンロードするためにインターネットに出されます。
  • 開発は迅速に行われると予想されるため、これらのプレビュー ビルドの
    有効期限は 6 か月 (現在は 2025 年 7 月 30 日) です。
  • 32 ビット Windows は、RADE と連携できない可能性が高いため、サポートされなくなりました。
  •  

利用可能なバイナリリリース: FreeDV.orgのサイトのダウンロードリンクを張ってあります。
Windows
FreeDV-2.0.0-dev2-2025-01-30-607dec1d-windows-x86_64.exe
Mac
FreeDV.dmg


なお不明なところがありましたらメールをしてください
※設定についても下記に重要なことが書かれています。
必ず目を通すようにしてください
 外部リンクも含めて
FreeDV に新モード(RADE) 驚異の音質のよさ : JE3PRM のblog


オーディオ設定について書かれている方の情報がありました
リンクを張っておきます。 JA1KIHさんのサイト

OmniRig とともにシリアル PTT を有効にします。(PR  #619 )
OmniRigのセットアップについては、ここでの説明は割愛します。
下の画像のメニューは、Tools>CAT and PTT Configで開きます。

Icom IC7300のPTTコントロール設定参考情報については
向島ポンポコ日記JA4JOEさんのページを参考にしてください
https://ja4joe.livedoor.blog/archives/13177378.html
Icom IC7100の設定については
FreeDVをやってみよう のサイトを参考にしてください。
https://todo.vc/anotherdecade/2022/20221005_freedv.php

 

 ※運用時DATAモードを使用しないで、通常のLSB/USBモードを
使用する場合は、[ツール] -> [オプション] -> [リグ コントロール] に移動し、
「DIGU/DIGL の代わりに USB/LSB を使用する」 上の画像のようにクリックを
入れて運用します。

 

 ※以前のバージョンでは、運用している周波数をPSKレポーター、
FreeDVレポーターに通知する際はソフト側が無線機から
周波数を読み取っていましたが、今回のVer 1.8.10より
ソフト側から無線機の周波数を指定することが
できるようになりました。プルダウンメニューの周波数は
国際的に使われている周波数がセットされていて、
任意の周波数を使用するには、ドロップダウン リストをクリックして
希望の周波数を入力することで、周波数を手動で入力することができます。
Enter を押すと、変更が無線にも反映されます。

※左上のTools>FreeDV reporter
FreeDV Reporter にステータス メッセージをレポートする
ロジックを追加します。(PR  #620 )
Message欄任意の文字列(英字)をセットボタンを使ってセットすることで
freeDV Reporterに反映されます。
・また、FreeDV Reporterを開いて送信すると自局のコールサインが
下の画像のように赤く表示され交信可能な受信局が青く表示されます。


Tools>Options>Reportingと進み、自局の情報 
コールサイン グリットロケーターをセットします。
Reporting欄については、下の画像のようにクリックを入れてください。

ご不明な点がある場合や問題が発生した場合はお知らせください




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